死と向き合う豊かさ
厚生労働省の統計資料で、日本の一日、というものが出されています。
数年の統計から算出しているデータのようなのですが、最新の資料では1日に約4,000人が亡くなられているそうです。
出産が1日約2,000人との事なので出生数の倍、死亡者数がある状況で、人口減少が如実に浮かび上がっている事が分かります。
しかし1日4,000人程の方が亡くなっているという数字の具体さに、少々驚きが隠せませんでした。
生まれたての赤ちゃんが、病院の新生児室でずらりと並んで育児ケースに入っている光景、それをイメージしてと言われれば容易い方は多いのではないでしょうか?
一方、亡くなられた方が安置される場面を創造する際に、たくさん列があるという光景は、大災害や大事故でもない限り、起こり得る事は無いはずです。
一般的に、死は個々に取り扱われる事象なのです。
1日4,000人が亡くなると言う事は、年間でいえば約150万人ですから、日本人であれば年間1.5%の確率で亡くなる可能性があると言える訳です。
また死亡原因の内、老衰で亡くなる方の数は死亡者数の1割ほどのようなので、大半が病気や事故、いわゆる天寿を全う、とはいかない事が分かります。
さて、少し哲学的な話になりますが、死ぬ事が恐ろしいとは誰もが思う所でしょうが、それはどうしてなのでしょうか?
一つは自分という個の存在が消えてしまう事、そして家族や知人への心残り、この二つに集約しそうです。
そんな想いには、まあ死んだとて、とある意味の達観で多少の恐怖感は薄れないでしょうか。
死んでしまえば、1秒後でも、1億年後でも、あとの事は何でも無くなります。
一方、悪い方に振れてしまうと、いわゆる無敵の人になってしまう訳ですが。
生まれてきた以上、死ぬ事は避けられません。
避けられない事に目を背けず、腑に落とすと人生が一つ豊かになるように思います。